35歳元イラン事務所長のブログ

名前は知っているけど実は良く知らないイラン。貴方のためにYUTAWORLDが体当たりで紹介していきます!!

【イラン】ザリーフ外相の辞任騒動について

皆様!

 

YUTAWORLDと申します!

 

貴重なお時間を割いて下さり有難う御座います!

 

1. はじめに

 

このブログは、皆さんが意外とよく知らないイラン・イスラム共和国という馴染みの無い国を体当たりでご紹介していくものです!

 

 また、今まで50カ国ほど旅してきた旅好きですので、僭越ながら世界中の観光スポットや旅で役立ちそうなノウハウなどを写真や動画も駆使しながら紹介させて頂きたいと考えております!

 

更に、一応ビジネスマンではありますので、自己啓発含めた海外ビジネス奮闘記たるものも入れていこうと思っております!

 

 2. 今回のテーマ「 ザリーフ外相の辞任騒動について」

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先日イランで大きく報じられたザリーフ外相の辞任騒動について

 

この裏側で一体何が起きているのか私見をお話したいと思います

 

このテーマはイランの現状に関する基礎知識が無いと非常に退屈な内容となってしまうので

 
特にイランが課されている経済制裁が何なのかお分かりにならない方は

 

お時間が許す限り本ブログにある「経済制裁について」を一読いただければ大変幸いでございます!

www.yutaworld.com

 

 まず最初に

 
ザリーフ外相の「外相」とは外務大臣の略称です

 

国の外交を務めるイラン外務省トップの人物であります

 

ローハ二大統領政権が誕生した2013年8月に就任して以来

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 ザリーフ外相はこれまで国家間交渉における最前線に立ち

 

2016年1月にはイラン核合意(下記補足)を履行させ、国際社会との協調路線を維持し続けてきました

 

(2018年8月7日付朝日新聞朝刊より引用)

核合意とは、核兵器開発の疑惑をかけられたイランと米英仏独中ロが2015年7月

に結んだ合意。イランが核開発を大幅に制限する見返りに、2016年1月に米欧が

金融制裁や原油取引制限などの制裁を緩和した。イランが核兵器に転用できる高濃

縮ウランや兵器級プルトニウムを15年間は生産しないことや、ウランを濃縮する

遠心分離機の大幅削減も盛り込まれ、緊張が緩和した。

 

しかしながら

 
トランプ大統領は選挙前から「この核合意に致命的な欠陥がある」と非難し続け

 

就任後に核合意から自ずと離脱してイランに経済制裁を課しました

 

その結果、米国の監視の目が入ることで海外の企業や銀行は萎縮してしまい

 
イランは外国との取引に関して原油販売を中心にガクッと下がり

 

今や経済危機に直面している状況であります(例えばインフレが前年同期比で45%迄上昇している状況)

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自分としてもこの国がこれからどうなるのか心配していたところ

 

2月25日未明、ザリーフ外相が突如辞意を表明しました

 

実はこれまでに2回ほどイラン政府内で彼による辞意表明があり

 
その都度政府に宥められてきたのですが

 

ザリーフ外相は今回自身のインスタグラムにて突如表明し

 
イラン国民や国際社会へと自ら拡散していったのです

 

これは今までに無かったやり方です

www.instagram.com

 

イラン政府要人らは彼が辞めないよう直ぐさま説得に入り

 

2月28日ザリーフ外相の辞任は漸く撤回されたものの

 

今回の辞任騒動で明らかとなったのは

 
イラン国内の保守派と改革派の内戦状態です(派名の定義は複雑なので簡単に表記)

 

イランはイスラム教が支配している特殊な国ですので

 
イスラム教の最高指導者であるお坊さん(現:ハメネイ最高指導者)がイランで最も強力な権力を持っています

 
彼ら保守派を簡単に例えると

 
インディーズバンドがメジャーデビューせず自らのスタイルを貫き続けるイメージです

 
他方

 
グローバル現代で国際社会との協調路線を維持しなければ生きることは出来ない考えるザリーフ外相含むローハニ政権を簡単に例えると

 
家族を持つインディーズバンドが少しずつ現実を見据えてメジャーデビューに近しい音楽性に変えつつあるイメージです

 
さて、保守勢力について話を戻しますと

 
最も偉いお坊さんには外交顧問(元外相)と呼ばれる役割の側近がおり

 
この人物こそが実質外交政策の要と言われております  

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前のブログ「インターネット規制について」の中で書いたように

 

欧州でアラブ系イラン反体制派組織のメンバーの暗殺を指導したのも彼と噂されております

 
ザリーフ外相のようにローハニ大統領の側近ではなく

 

最強に権力を持つ最高指導者の側近ですから非常に強いポジションです

 
国際社会でシビアとなっているイランのシリア政策

 

つまりイランがイスラエルサウジアラビアの脅威を防ぐべく

 
三日月地帯を強化していたり

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国際社会で大陸間弾道ミサイル(ISBM)の技術取得につながるとして疑われた人口衛星の打ち上げなど


このようなイランの動きは外交顧問が実質動かしていると言われています

 
ザリーフ外相はなんと斯様な政策に殆ど関与させられていない様で

 
経済制裁が再発動した後も良好な関係を構築してきた欧州等から次々と非難を受けるので

 
彼としては「俺は何もしていないし何も悪くない。保守派が勝手に状況を悪化させているんだ。」という気持ちで一杯だったのでしょう

 
極め付けは2月25日シリアのアサド大統領がイランを訪問した際

 
ザリーフ外相は最高指導者とアサド大統領の面談に呼ばれず

 
代わりに革命防衛隊(最高指導者固有の軍)の司令官なんかが呼ばれたりしました

 
外交が主体となる本会議に呼ばれなかったザリーフ外相はかなり頭に来たのでしょう

 
これを機に今回の辞任騒動へと至った訳でありますが

 

あえてインスタグラムで発信するという点については 

 

我々国際社会にイランの内戦状態を伝えたいという意図があったと思います

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変えようとしても変えられないイスラム教支配のイラン

 
ザリーフ外相は国際社会との協調路線を維持しない限り

 

この国が保たないというのをよく分かっている人物です


今イランでは保守派がどんどん力を付けて中東地域に緊張をもたらしています

 
我々国際社会がそれを理解し

 
外から保守派の力を弱める戦略を立てていく他無いと考えております

 

最終的には最高指導者の考え方を改める他無いのですが

 

これからシリアを舞台にした何かが勃発する気がしてなりません

 
個人的にそのタイミングが今年夏から秋にかけてと思っています

 
以上、色々書かせていただきましたが

 

最後まで読んで下さり有難うございました!